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2012/09/01

速報・インダス考古学に関する国際会議


 前回のポストから少々間が空いてしまいましたが、その間に、下記の国際会議の開催が決まりました。どこよりも早く、お知らせします。

New Horizons through novel discoveries in Indus civilization: International Conference on Indus Archaeology.
(Held at Shah Abdul Latif University Khairpur Sindh, Pakistan from February 12th 2013 to February 16th  2013). 

最新の発見にもとづくインダス文明研究の新展開-インダス考古学国際会議
(2013212日~16日、シャー・アブドゥル・ラティーフ大学、ハイルプール、パキスタン)

 会議のタイトルは「インダス文明」となっていますが、その中に「石器時代の考古学」というパネルが設けられ、旧石器~中石器時代を対象とした議論が行なわれることとなりました。このパネルは、プロジェクト・メンバーでもあるG.M.ヴィーサル教授と私(野口)がオーガナイザーとなります。インド、イギリス、アメリカ、スペインなどの研究者を招聘して、1)南アジアの前期~中期旧石器時代、2)南回りルートの現代人の拡散、3)更新性後半~完新世初頭の砂漠環境の変化と人類の適応、の3つのセッションを設ける予定で、現在、プログラムの調整を開始したところです。
 わたしたちのプロジェクト自体ははじまったばかりで、まだ議論に供することのできるデータは乏しいのですが、この機会に多くの研究者に遺跡や資料を見ていただき、今後の調査に向けて有意義な議論を深めるとともに、プロジェクトをひろく周知する機会になればと期待しています。
 今後、新たな情報が入り次第、ここで報告して行きたいと思います。
 なお、本国際会議では、開催時に論文集も同時刊行される予定です。 

(以下、趣旨説明)
 インダス考古学は、探査、発掘を通じて収集される情報とともに、最新の手法による出土遺物や遺構の分析、解読によって加えられる知見により、つねに変化している。分析技術の進歩は、過去の生活をより具体的に解き明かし、社会や文化の多様性と地域性を、集団や行動のレベルで説明することを可能にした。その上で今、すべての新発見を一同に会し、一連の歴史として捉えること
必要とされています。今般の国際会議では、いくつかのパネルがそれぞれ異なるテーマに焦点を当て、研究の進展を明らかにします。
 現在、パキスタンに属するインダス川流域は、西アジア、中央アジア、そして南アジアの交差点として、人類の出アフリカにおける重要な位置を占めていました。旧石器時代の人々がユーラシアを東へと進もうとしたとき、峻険なヒマラヤ山脈により可能なルートは南北に分割されます。そのうち南側のルートを辿った人びとは、必ずやパキスタンにその足跡を残したでしょう。人類拡散の痕跡は、研究者たちによりその文化的側面が詳細に説明されるでしょう。そして長きにわたる石器時代の最後に新石器時代の文化変化が起こり、都市文明へと続くのです。
 新たに発見、調査された都市遺跡は、非常に豊かな生活スタイルと文化的複雑さを明らかにしつつあります。長距離交易による商品は市場に蓄積されました。銅、宝石、海産の貝などは、テラコッタ、ファイアンス、装飾された宝石や金属製品などの工芸品とともに流通して文化の一部となるとともに、古代南アジアの都市からの訪問者を魅惑しただろう。交易従事者は、テラコッタもしくは金属製のパスポートを識別と認証のために与えられ、そこに刻まれた記号によりメッセージが確認されただろう。インダスの文化は、確実にある水準に達していたのである。今まさに、研究者たちはそれぞれの新たな発見を持ち寄り、共有し、議論するときである。それは、まだ解明されていないインダス文明の実態を明らかにするための重要な機会となるだろう。シャー·アブドゥル·ラティーフ大学の当局は、インダス考古学の進展に貢献するすべての研究者を歓迎します。
 なお今般の会議は、1)石器時代の考古学、2)グジャラート、ラージャスターンの考古学、3)インダスの考古学、4)インダス文明後の考古学の4つのパネルで構成される予定です。

(1) Archaeology of Stone Age, Organized by  NOGUCHI Atsushi and G.M. Vessar
(2) Archaeology of Gujarat and Rajasthan; organized by Prabodh Shirvalkar and Rajesh S.V.
(3) Archaeology of Indus land Organized by Q. H. Mallah and J.M. Kenoyer
(4) Archaeology of Post Indus to onwards organized by Mastoor Bukhari and Tasleem Abro.
(写真は、今年2月に竣工したばかりのシャー・アブドゥル・ラティーフ大学の中央校舎。学長室や会議室など最新の設備があるので、たぶん国際会議はここで開催されるのではないかと。左は、Q.H.マッラー教授。国際会議開催の中心人物)

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