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2013/04/07

シンポジウム「イランの旧石器」のお知らせ

 シンポジウムのお知らせです。イランで旧石器時代遺跡の発掘調査を行なっている、筑波大学の常木晃先生が、イランから研究者2名を招聘して『イランの旧石器』と題したシンポジウムが開催されます。
 本プロジェクトからも、野口が参加し、南アジアの中期/後期旧石器時代について報告する予定です。
 常木先生は、国士舘大学の大沼克彦先生らとイラン南部のタンゲ・シカン洞窟で発掘調査を行なっています。先に、第20回西アジア発掘調査報告会で最新の成果が報告されたとおり、中期旧石器から後期旧石器、晩期旧石器時代の石器群が層位的に発掘されています。そして後期旧石器時代の地層からは、3万年を遡る可能性のある細石器が見つかっているのです。これは、イランとドイツの研究者によって昨年報告されたばかりのガーレ・ブーフ洞窟に続いて2例目となるもので、アフリカ、南アジアとの関連を考える上で非常に重要な意味を持つと考えられるものです。
 イラン西部では、これまでにもヨーロッパから西アジアの地中海沿岸や、コーカサス地方と共通する特徴をもった細石器が見つかっており、もっとも古い年代はヤフテー洞窟などで3万5千年前まで遡ることが分かっていました。ところが、南西部のガーレ・ブーフ洞窟では、それとは異なった技術的特徴を持つ細石器が見つかり、その年代も4万年前まで遡ることが明らかになったのです。
 ガーレ・ブーフ洞窟やタンゲ・シカン洞窟で見つかった細石器は、インド南部やスリランカで見つかっている細石器と非常によく似ています。巻貝製のビーズなどを伴っていることも共通しています。今後、「南回りルート」の現代人の進出を考える上で重要な地域となることは間違いないでしょう。
 なお来日される2名の研究者は、テヘランの国立博物館に所属する旧石器時代の専門家です。イランの旧石器時代研究について最新の情報を知る良い機会となることでしょう。
 もちろん、本プロジェクトにとっても、インドと並ぶ重要なお隣さんです。これを機会に、情報交換を進めたいと思います。
 なお、プログラムの詳細はこちら(西アジア考古学会ホームページ、上から3件目)もご覧下さい。


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